症例:上顎前突 叢生 大人 (下顎右第一大臼歯欠損 非抜歯)
写真のように、強度の上顎前突(出っ歯)と叢生です。
それだけでなく、
下顎右の第一大臼歯が、欠損し、その部分に後ろの第二大臼歯と親知らずが倒れ込んできていました。
この二本の大臼歯をまず起こし、起こしながら第一大臼歯のスペースをできるだけ埋めていく計画です。
その過程で上顎前突、叢生もある程度緩和されてくるでしょう。
重なって倒れ込んできている歯を起こすのは大変です。ワイヤを入れるくらいでは、殆ど動きません。特別な方法が必要です。
始めに、右下の親知らずを起こすためにプラスチック製の装置を入れました。ネジの力である程度まで起こします。
右下の親知らず、第二大臼歯をある程度起こしたら、
マルチブラケットを装着し、第二大臼歯と親知らずを、さらに前方に移動させつつ、起こします。
ここがさらに大変です。ゴムで引っ張ってもうまく行きません。
かなり特殊なバネワイヤを曲げて入れます。スタンダードエッジワイズ法だからこそ、の方法です。
右下の親知らず、第二大臼歯が、かなり前方に来て、上下歯列の関係もほぼ良くなりました。
ここで終了させます。見た目は十分ですし、上下の歯の当たり方も十分です。これ以上力をかけますと、上下の関係が崩れます。
残ったスペースは、保定終了後に補綴します。支台歯の平衡性も良いし、スペースも丁度です。これは簡単でしょう。
実は、当初は、下の大臼歯二本を起こした後、上の小臼歯二本を抜歯するつもりでした。
しかし、下の大臼歯を起こした結果、下顎が前に出て、出っ歯感が極めて小になり、抜歯の必要が無くなりましたl
ご本人はもちろん、ものすごく喜んでおられました。