矯正装置について

目立たない矯正装置

目立たない矯正装置の代表は、歯の裏側からの装置です。しかし、使用感が悪い、費用がかなりかかる、力が弱いので治療期間が長くなる、などで今ひとつ普及しません。
普通の表側の装置も工夫されています。ただしその多くは目立ちにくくするためにコストが使われてしまい、材質がやや劣るため、歯を動かす能力、耐久性など、装置としての性能にやや問題があります。
その中でセラミック製の装置は問題が少なく、お得な装置でしょう。

マルチブラケット装置の主役

主役はブラケットです。これは、歯に接着する小さな部品です。表面の溝でワイヤーの力を受け、歯を動かします。この部品は、硬くて変型しないことが必要です。同時に小さいこと、目立たないこと、外しやすいことも必要です。
最も高性能なのは金属ですが、見た目が問題。そこで現在は、セラミックやレジン製もよく使われます。これらは強度で劣るため、やや大きくなります。また最後に外すとき、やや外しにくくなります。

ワイヤーはブラケットに通す針金です。この力で歯が動きます。弾性が必要ですが、強すぎてはだめ。程良い弾性と塑性が合体しなければなりません。
色々な分類がありますが、まずは材質による区別。ステンレス系はよく使われますが、やや強く、もろい感じがあります。おすすめできるのは希土類(レアアース)系のものです。やや高価ですが、やはりこれでしょう。チタン系のものは形状記憶性能が素晴らしく、補助的によく使います。

顎外装置の使用時間

顎外装置とは、お口の外に主たる部分が見える装置です。出っ歯、受け口でよく使います。お口の中で、前歯ないし奥歯に付いた金具に接続します。
その目的は、頭蓋全体を支点にして、歯の位置およびあごの骨を変化させることです。
使用時間は、経験的に約14時間/日と言われています。実際、7時間くらいになると動きはわずかです。もちろん個人差は大きく、子どもは動きやすく、大人でも動きやすい人とそうでない人がいます。
効果は大変大きいものです。家でだけ使用します。

レジン(プラスチック)装置の管理

矯正装置のうち、赤いプラスチックでできているものがレジン製装置です。
この管理は、外したときは必ずケースに入れる、落としたり踏んだりしない、清潔に努めるといった程度です。だんだん汚れが目立ってきたら、入れ歯洗浄剤を使用されるのも構いません。
ただし、熱湯使用は避けてください。手が何とか入るくらいの熱さなら良いのですが、それ以上では変型します。

治療用のワイヤー(針金)について

歯に接着したブラケットの溝にはまりこみ、歯を三次元で動かす原動力がワイヤーです。
見た目重視の白色など、色々な種類があります。金色のものもありますが、材質がやや低質で性能に欠けます。また、治療初期しか使えません。
性能が高いものはやはり金属色です。当院を含めほとんどの矯正専門医では、性能を重視した材質のワイヤーを使用しています。

ブラケットについて

ブラケットは直接歯に付けるものなので、最も目立ちます。性能から言うと、金属製が最高です。形が小さく、強靱でワイヤの力を最も良く歯に伝える感じがします。でも見た目は金属の色。そこで、見えにくいブラケットが色々と開発されています。セラミック製、レジン製が主ですが、強度を保つため外形が大きいきらいがあります。でも色は確かに見えにくい。
ドクターとして今まであれこれ使用しましたが、どれも一長一短。何種類か用意して症状による使い分けが一番、と今は考えています。

矯正装置は壊れないのですか?

矯正装置は壊れます。強い、あるいは変則的な力が加わると、その力が歯にダメージを与えないよう装置自体が壊れる、と理解してください。従ってときたま壊れるのです。
普通はご本人がすぐに気づき、来院していただいています。
しかし、頻繁に壊れたのでは来院が面倒です。そこで、どの矯正装置も壊れにくさと壊れやすさのバランスが重要なのです。

保定について

矯正治療が終了すると、装置を外します。しかし、まったく何もなし、とはなりません。治療結果を保つための簡単な装置を入れます。これが保定です。
保定に使う装置は種々ありますが、大変簡単な装置です。自分で付け外しできるタイプが良く見られます。
保定に入ると、それまでほぼ毎月だった来院が間遠になり、3~6か月おき程となります。もちろん費用も下がります。非常に楽になるので、保定の期間は治療期間と考えないのが普通です。

歯の裏に細いワイヤを固定する保定は、使用感は少ないのですが維持力が弱く、壊れても気がつかずに歯列が変形することもあります。
専門医は、プレートタイプあるいは透明シートを歯の形に整形したタイプをよく使います。維持力が強く、また着脱式ですからやむを得ない場合は外せるなど、長所の多いタイプです。
使用は24時間が標準です。ただし、食事、歯みがきなどの時間は外します。途中から家でのみ使うなど、時間を短縮することもよくあります。

矯正装置、特にマルチブラケットを付けるとき

矯正装置、特にマルチブラケットを付ける日は、みなさま期待と不安でドキドキするでしょう。
実はドクターにとっても特別な日なのです。それは、この日が格別に時間と集中力を要する日だからです。マルチブラケット装置を付けるには、まず奥歯にバンドという金属環をセットし、そのあと各歯にブラケットという小さな部品を貼り付けていきます。
バンド作成とブラケットを適切な位置に付ける処置は、極めて熟練を要し、熟練しても十分な時間を必要とするのです。従ってドクターは、体力と気力を集中してことにあたります。ぜひ遅れずに来院いただけますよう、ご協力のほどお願いいたします。

装置の知識:大人編

主要装置には、そう種類がありません。その中でも金属ワイヤーの装置(エッジワイズ装置)が圧倒的に性能が高いため、最も使われています。補助装置は色々です。
(1)主装置の分類
・金属のワイヤーを使うもの(歯に貼り付ける部品には見えにくい材質が使われる)とプラスチック主体のもの
・歯の表に付ける装置と裏側に付ける装置
(2)補助装置の分類
・取り外し式のもの、固定式のもの
・口腔外装置と口腔内装置
計画どおり歯を移動する能力は、エッジワイズ装置が圧倒的に優れています。ほとんどのケースで使われている理由です。

装置の知識:子ども編

子ども用装置はさまざまです。
(1)材質による分類:床(しょう)装置やプレートと言われるプラスチック主体のものと金属線主体のもの
(2)使い方による分類:取り外し式のもの、固定式のもの
(3)口腔外装置と口腔内装置:装置が口の外にも出るか、口の中だけに取り付けるのか
(4)大人用のエッジワイズ装置を一部に使うこともあります。
以上が主な分類でしょう。症状と成長段階を考え合わせ、最適と思われるものをチョイスします。複数を組み合わせることもあります。

まずはご相談ください

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