2014年7月30日

当院の目標は、生活を豊かにする質の高い治療です

院長あいさつ

当院のホームページをご覧いただきありがとうございます。
かたやま矯正歯科の院長、片山 綱です。
私は、大学病院矯正科および矯正歯科専門医院での臨床を経て、矯正医療に従事してまいりました。

当院では、生活を豊かにする「質の高い」治療を目標に、技術と工夫を持って、
また子どもでは積極的に成長を利用し、顎の骨格を改善し、
できるだけ歯を抜かないで良いかみ合わせを達成する、矯正歯科治療(歯列矯正)を行っています。

矯正治療は、歯並びを整えて、健康的な笑顔を作り出します。口元のコンプレックスが「大きな口を開けて笑えない」「人と会ったり話したりするのが億劫だ」といった「気持ちの負担」となっている方の場合、そんな気持ちの負担が矯正治療によって解消されると、心が健康になり、日々の生活をより豊かなものにできる可能性があるのです。

患者さんの心と体の健康のために

院長あいさつ歯列を矯正することは、見た目を美しく整えると同時に、健康な噛み合わせを実現することも意味します。良い歯並び、良い噛み合わせは、咀しゃく能力を高めます。しっかり咀しゃくすることは、食べ物を味わい、より美味しく食事をすることにつながります。また、消化・吸収を良くするので、胃腸の負担が軽減されます。

そういったことから、お子さんの矯正治療のあと、保護者の方から「子どもの食が進むようになった」「美味しいと言って、何でもよく食べるようになった」という声を聞くことがあります。また大人の方からも「胃腸を悪くすることが減った」「胃の調子が良くなった」といった感想を耳にします。

また「歯がとても磨きやすくなった」という声も多く聞かれます。歯並びが凸凹していると、陰になる部分に食べ物のカスなどが残りやすいのですが、歯が磨きやすくなると、虫歯や歯周病にかかりにくくなります。また、歯列が良くなると、発音が改善されるといった効果も期待できます。

このように矯正治療は、心と体、両方の健康増進に好影響を発揮するのです。また「自分の歯で良く噛むこと」は、脳の血行を促すことも知られてきています。高齢化社会の到来を考えた上でも「自分の歯」をできるだけ多く残しながら治療しようとする努力が必要だと考えています。

治療終了時の輝く笑顔が私にとっての喜びです

院長あいさつ矯正治療には、術者にとっても限りない魅力があります。ご相談時に十分な時間を取り、さまざまな治療の可能性を考えつつ患者さんと直接お話するのは、とても充実した時間です。そして診断の際には、詳細なデータを元にさまざまな方向性を考え、患者さんにご提案します。

データをできるだけ正確に読み取り、いくつもの可能性や方向性を見出すことは大変ですが、それこそが重要なことだと考えています。患者さんにとって最良の方向性を見出せたときは、一仕事終わった気分になるほどです。

そして、何より嬉しく、何より一番の充実感を得られるのは、治療が終了して患者さんの装置を外したときです。患者さんが「満足感一杯の表情」を見せてくださったとき、そのときの術者としての嬉しい気持ちは、なかなか言葉では表現しきれません。

矯正歯科治療の特殊性-コミュニケーションの必要性

院長あいさつ矯正歯科治療は「歯を移動して治療する」「子どもの矯正では成長発育の見通しが重要」など、特殊な性質を持ちます。したがって、診断の仕方や治療技術が一般歯科とは大きく異なります。もちろん、矯正歯科専門のトレーニングが必要です。

また医院の設備、雰囲気にも違いが出てきます。矯正歯科専門医院としての当院では、歯を削る音、吸い込む機械の音などがしません。そのため、かなり静かです。よく見ると、治療用の設備も異なります。こうした違いは、矯正歯科治療の特性を反映しているのです。

その静かで落ち着いた環境の中で、患者さんご自身、あるいはお子さんの保護者の方とよくお話をしています。矯正治療は通院期間が比較的長く、回数も多いので、できるだけ今の治療状況や見通しなどをお伝えしています。たまの30分よりも、毎回の数分のお話の方がずっと理解を深めていただけるのです。

雑談や世間話なども交えながらコミュニケーションを深め、患者さんご自身や保護者の方のさまざまなご質問にもお答えしています。

できるだけ抜かない治療を可能にするのは工夫と努力だと考えます

院長あいさつ当院では「できるだけ歯を抜かない矯正治療」を目標としていますが「抜くことが不可欠なケース」も少なくありません。日本人は「歯が大きく、あごの骨が小さいタイプ」が多いため、歯を抜かない矯正治療が困難な場合や、歯を抜いて矯正治療をしたほうが良いケースもあるからです。

大切なのは、まずは「歯を抜かずに矯正できる可能性」を見極め「歯を抜かずに矯正する工夫や努力を最大限まで行う」ことだと考えています。そしてそれは、個人個人についてのていねいな診察と診断、および効果的な治療方法と技術力によって可能となるのです。

当院では、複数の検査データと個人個人の条件(子どもの場合には成長に関するデータなども含めて)を重視すると共に、安全が確認された従来の装置の使い方や組み合わせ方を考え、効果的に用いて治療することにより、多くの実績を残しています。

妥協をせず、とことんこだわる性格

院長あいさつ当院が「できるだけ歯を抜かない治療」にこだわる理由は、もともと私自身が「歯を削らず、被せず、歯を動かすことによって、美しくて機能的な噛み合わせをつくる矯正治療という方法」に、とても大きな魅力を感じて矯正歯科の専門医となったからです。

そして「自然の歯を動かしていくのであれば失うものはない。抜かずに済めば100%じゃないか!」と思ったのです。ですが、そのための診断が大変であることは事実です。たくさんの資料やデータ、模型などを使い、読み取り、いろいろなケースを考える必要があります。

「できるだけ抜かない矯正」は診断が難しく、手間がかかります。ですが私にとってはこの「大変な診断」が「大変だけど楽しい」「やりがいがある」と感じられるのです。妥協することは好まず、やれるものはやってみるという性質・性格が、この仕事に向いていたのかもしれません。

個人的な趣味は、Jazz Classicを聴くことと、そのためのオーディオ装置を作ることなのですが、そちらのほうも「マニアックな領域に達している」と言われることがあります(笑)。そんな私だからこそ、患者さんのためにできることがあるのなら、今後も努力を重ね、臨床では難しい症例ほど積極的でありたいと思っています。

愛着のあるこの場所で、地域密着の医療に取り組んでいきます

院長あいさつ静岡は私の出身地であり、当院のある呉服町は私の生まれ育った場所でもあります。愛着のあるこの地の皆さんが、1人でも多く、歯並びや噛み合わせのお悩みから解放され、健康な心と体を手に入れていただけるよう努めていきたいと思います。

また、一般の社会人を経た経験を活かし、視野の広い歯科医師でありたいと考えています。矯正治療については、子どもでも大人でも、開始時期、費用、方法、期間など、わからないことや不安なことが多々おありだと思います。まずは、お気軽にご相談ください。

院長プロフィール

院長あいさつかたやま矯正歯科 院長 片山 綱

【略歴】
静岡高校 卒業
早稲田大学卒業 公的機関勤務
1986 東北歯科大学 入学
1995 神奈川歯科大学大学院修了
1995 矯正歯科専門医院勤務
1998 かたやま矯正歯科開業

【所属団体・資格】
歯学博士
日本矯正歯科学会認定医
Tweed Course (Charles H. Tweed International Foundation Tucson US-AZ)
日本矯正歯科学会
東京矯正歯科学会
日本口蓋裂学会

出っ歯(上顎前突)

出っ歯(上顎前突)「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」とは一般的に「出っ歯」と呼ばれる状態のことで、噛み合わせたとき、上の前歯が下の前歯より大きく前に出ている歯並びのことです。前歯の生える向きの角度異常や上あごの過剰成長、下あごの成長不足、幼少時の指しゃぶりの癖などが主な原因と考えられます。

「上顎前突」の治療例はこちら

すきっ歯(空隙歯列弓)

すきっ歯(空隙歯列)歯と歯の間に隙間があいてしまっている歯並びのことを「空隙歯列(くうげきしれつ)」と言います。一般的には「すきっ歯」とも呼ばれる状態で、2本の前歯の間にスペースが生じている「正中離開(せいちゅうりかい)」も空隙歯列の症例の1つです。あごと歯の大きさが合っていないことや、埋伏歯などによって、そもそもの歯の本数が不足していることなどが原因となります。

「空隙歯列」の治療例はこちら

デコボコ・八重歯(叢生)

デコボコ・八重歯(叢生)「叢生(そうせい)」とは、あごと歯の大きさのバランスが悪いことが大きな要因となり、歯が凸凹に生えたり重なったりしている状態の総称。「乱杭歯(らんぐいし)」や「八重歯(やえば)」とも呼びます。

「叢生」の治療例はこちら

下あごが出ている(反対咬合)

下あごが出ている(反対咬合)「反対咬合(はんたいこうごう)」は、噛み合わせたときに下の前歯が上の前歯より前に出ている歯並びのことで、 一般的には「受け口」と呼ばれる症状です。主としては遺伝的な要因が影響していると言われますが、上唇を吸い込んだり、舌を突き出すといった幼少時の癖が影響しているケースもあります。

「反対咬合」の治療例はこちら

前歯が噛み合わない(開咬)

前歯が噛み合わない(開咬)「開咬(かいこう)」とは、奥歯は上下が噛み合うのに、前歯は上下の歯列の間に隙間が生じてしまう状態です。遺伝的要因のほかに、幼児期の指しゃぶりや舌を突き出す癖、口呼吸などが誘因として影響していると考えられます。

「開咬」の治療例はこちら

深い噛み合わせ(過蓋咬合)

深い噛み合わせ(過蓋咬合)「過蓋咬合(かがいこうごう)」は、上下の歯を噛み合わせると上の前歯が下の前歯をほとんどすべて隠してしまうような、噛み合わせが深すぎる状態のことです。遺伝の影響のほか、早い時期に乳歯を失い、永久歯が成長するまでに時間がかかってしまったことや、虫歯などで奥歯を失ったまま放置したことなどが誘因となるケースもあります。

【マルチブラケット装置】現代の矯正治療の主役 大人の矯正治療 子どものⅡ期治療も

マルチブラケット装置

マルチブラケット装置とは、歯の1つひとつにブラケットという小さな装置を接着し、それにワイヤーを通して少しずつ力を加えることにより、歯並びを三次元的に整えていく装置です。いわゆる「ワイヤー矯正」に用いる、最もポピュラーであり、なおかつ最も信頼度の高い矯正装置です。また、弱いワイヤーで動かすため、痛みも無いと言って良いでしょう。

全部の歯の位置と傾きを同時に動かすためほとんどの症例に対応でき、治療効率が良く、治療結果も優れているといったことから、大人の矯正の主役の装置です。また、子どもの矯正においても、前歯を整えるなど、随所で重要な役割を果たします。

マルチブラケット装置を用いて行う矯正テクニックとしては、断面が四角のワイヤーを用いる「エッジワイズ法」が主流です。当院では主にエッジワイズ法の中の「スタンダードエッジワイズ法」を採用しています。

マルチブラケット装置一昔前までは金属製のブラケットが主流だったため、"ギラギラして目立つ"という印象が強く、そのデメリットを避けるためにさまざまな治療方法が開発されてきたと言えるかもしれません。ですが、三次元的かつ精密な歯の移動を可能とするには、ワイヤー矯正が最も有効です。

最近では、不正咬合の一部はマウスピースなどでも歯列矯正が可能と言われているようですが、治療結果として満足できるレベルではありません。そこで当院では、マルチブラケットを中心として、個々の患者さんに適した、ていねいで精密な矯正を行っています。

また、現在では装置の改良が進んでいますので、ブラケットは小型化され、目立たない色のブラケット(審美ブラケット)も登場しています。ただし、性能では金属製の方が優れている面もありますので、当院では、見えにくいブラケットを主としながら、用いる箇所によって使い分けています。
 
ブラケットの種類(素材)と特徴
マルチブラケット装置●金属製ブラケット
【メリット】
ワイヤーの滑りが良いことから、ほかのブラケットに比べて多少早く歯が動く
【デメリット】
銀色なので治療をしているのが目立つ

マルチブラケット装置●セラミック製ブラケット
【メリット】
ブラケットの色が歯の色に近いので、矯正していることが目立たない
【デメリット】
金属ブラケットに比べると強度に劣り、稀に割れてしまう場合がある

マルチブラケット装置●レジン(合成樹脂)製ブラケット
【メリット】
セラミック製ブラケットと同様に、矯正しているのが目立ちにくい
【デメリット】
ブラケットが大型で磨耗しやすく、柔らかすぎてワイヤーの力が歯にきちんと伝わりにくい
 

子どものⅠ期治療の主役は色々の矯正装置

フレンケルフレンケル
子どもの矯正に用いる機能性矯正装置のひとつです。噛む力をはじめとするお口周りの筋肉の力を利用して矯正治療を行う装置なので、バネやゴムは使用されていません。頬や唇などの圧力を排除し、かつ上下の顎骨の位置関係を適正に保ち、口腔周辺の筋肉バランスを修正しながら上下顎の自然な成長を促す装置です。出っ歯用や反対咬合用などもあります。

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ヘッドギアヘッドギア
お口の中で上あごの奥歯につけた小さな装置に差し込み、奥歯を後ろに移動させると共に、上あごの成長を抑制する装置で、主に出っ歯の矯正に使用します。子どもの矯正に用いることがほとんどです。

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プレート(移動用ネジつき)プレート(移動用ネジつき)
上あごの奥歯を後ろに移動させるなど、さまざまな用途に使用します。ネジを回すことによって、ワイヤーの枠に囲まれた歯が移動していきます。治療効果が確実な装置のひとつです。

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ナンスのホールディングアーチナンスのホールディングアーチ
奥歯が前に動いてこないよう、奥歯の位置を保つために使用します。

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急速拡大装置急速拡大装置
歯につける金属のバンドと、歯列の幅を押し広げる拡大ネジから構成された装置です。ネジにより、2週間ほどの短期間で上あごの幅・歯列の幅を広げます。主に子どもの矯正で使用しますが、痛みなどはなく、極めて安全な装置です。

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プロトラクター(上顎前方牽引装置)プロトラクター(上顎前方牽引装置)
上あごの成長が不足しているために反対咬合が起きているといった、骨格に原因がある反対咬合の治療に使用する装置です。口腔内に取りつけたフックと顔の前方に取りつけたフェイスマスクとの間にエラスティック(輪ゴム)をかけて使用することで、上あごの前方成長を促します。家にいるときに使用します。大変パワーのある装置ですが、使い方で治療効率が違ってきます。

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リテーナーv
リテーナーは、矯正装置による治療が終了したあとに使用する装置です。矯正装置は歯やあごを動かすための装置ですが、リテーナーは、矯正装置を外したあとに、整えた歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防止するために使用する『歯を動かさないための装置』です。
リテーナーには、プレートタイプ、マウスピースタイプ、取り外しができないタイプなどいろいろありますが、最も良く使用されるのはプレートと総称されるタイプです。

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QH(クォードヘリックス)QH(クォードヘリックス)
上あごの拡大装置のひとつで、作りやすく、性能が優れているので使用頻度の高い装置でもあります。主に成長期のあごの拡大に使用しますが、大人でも、マルチブラケット装置の装着前や装着中に使用することがあります。

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BH(バイヘリックス)BH(バイヘリックス)
下あごに使い、バネの力で歯列を拡げる固定式装置です。上あごのQH(クォードヘリックス)と対で使われることが多く、形が小さいわりに効果が高いのでよく使われます。

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拡大床拡大床
主に子どもの矯正治療で使います。中央にあるネジを調節することによって、あごを左右に拡げていきます。扱いやすいのですが、ややパワーに欠けます。

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タングクリブタングクリブ
開咬(オープンバイト)の治療に用います。上あごの大臼歯に装着し、柵の部分は前歯の裏に位置します。この柵によって、歯並びを悪くしている原因の1つである舌癖を防ぎ、舌が前に出てこないようにするための装置で、主に子どもの治療に使用します。場合にもよりますが、かなりの効果がみられます。

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ジャンピングプレートジャンピングプレート
上あごにつけます。下の前歯があたる部分が斜面になっています。これで下のあごを前に誘導します。食事、歯磨きなどのときは外します。着脱が簡単なので小さいお子さんでも自分でできます。使いやすい装置です。効果はややマイルドです。

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当院が採用する治療方法【スタンダードエッジワイズ法】大人の矯正 子どものⅡ期治療も

スタンダードエッジワイズ法

当院の矯正治療で主役となるのは、マルチブラケット装置を用いた「エッジワイズ法」です。この方法は、大人の矯正の主役であるだけでなく、子どもの矯正でも前歯を揃えるなど、随所で重要な役割を果たします。

マルチブラケット装置とは、歯の本数分の多数のブラケットを使うことから「マルチ」と名付けられていますが、多くの方が「ワイヤー矯正」として良くご存知の方法です。すべての歯に固定したブラケットにワイヤーを通すことにより、歯を三次元的に動かすことが可能です。また、全部の歯の位置と傾きを同時に動かすため、治療能率が良く、治療結果も極めて優れています。

マルチブラケット装置を使用する方法は、断面が四角いワイヤーを使うエッジワイズ法が殆どですが、当院ではエッジワイズ法の中の「スタンダードエッジワイズ法」を採用しています。

「スタンダードエッジワイズ法」と「ストレートエッジワイズ法」スタンダードエッジワイズ法
現在のエッジワイズ法は「スタンダードエッジワイズ法」と「ストレートエッジワイズ法」に分けられます。ストレートエッジワイズ法は、歯の形や大きさの違い、歯面の傾きといった三次元的な情報を平均値としてあらかじめブラケットに組み込み、U字型のワイヤー(調節のないワイヤー)を入れると、平均値の位置関係に自然と歯が並ぶというシステムです。

たとえるなら「平均的な体型の人を想定して作成・販売されている既製服」のようなイメージです。ですが、歯の形や大きさ、歯の位置関係というのは人それぞれですから、平均値が必ずしも個々の口腔内の状況に適しているとは言えません。

一方、スタンダードエッジワイズ法は、ワイヤーを通すブラケットの溝が歯と平行で、歯面との距離も一定です。そのブラケットにワイヤーを通しながら、各歯が自然な位置関係で並ぶように、実際の状況に合わせてワイヤーを曲げ、細かく調節していきます。

つまり、ストレートエッジワイズ法が既製服なら、スタンダードエッジワイズ法は、個々の体の寸法を測ってていねいに仕立てるオーダーメイドと言えるのです。

当院では、主に「スタンダードエッジワイズ法」を用いて、一人ひとりの患者さんに合わせた矯正装置を手作りしています。歯1本1本の形、傾きに合わせてワイヤーの角度を微妙に調整することで、より効率的で効果的な治療を行います。

また、初めて装置を装着するときは、極めて柔らかいワイヤーを使用し、その後、歯の動き具合に合わせて徐々にワイヤーの力を強くするなど、緻密なコントロールを行います。そして、最後も少し細めのワイヤーで仕上げます。こういった細やかな調整や配慮により、治療時の痛みもほとんどありません。

子どものⅠ期治療では、さまざまな治療法があります

当院では、個々の状態によって必要な、奥歯の位置の調整などの準備を先に行ってから、スタンダードエッジワイズ法を採用します。これは、子どもの治療の場合でも、大人の治療の場合でも同様です。常に、一人ひとりに合わせたていねいできめ細かい治療を心がけています。

治療方法上顎前突の場合
上顎小臼歯あるいは上下の小臼歯を抜歯して矯正するのが標準的な方法ですが、奥歯から前歯まで全体を後方に下げることにより、かなりの症例で抜歯を避けることが可能です。また、下あごを前方に出す方法が適しているケースでは、個々の状態に最も効果的な装置を選択して使用します。これらも小学生から中学生、場合によっては高校生でも治療しています。さらには大人の治療においても、可能と思われるケースでは試みます。

治療方法叢生の場合
あごを拡げる方法、大臼歯を後ろに下げる方法などを検討し、抜かない治療を数多く実現しています。ただし、歯の幅を削る方法は極力避けています。

治療方法反対咬合の場合
上顎前方牽引法が治療の標準です。通常は奥歯から牽引するのが一般的ですが、当院では、前歯から牽引することによって上あごの成長を促すようにしています。この方法によって、多くの症例で永久歯の抜歯に至らず、かつほとんど後戻りのない結果を得ています。この方法による治療は、小学生から中学生ぐらいまでが適していますが、個人の条件次第で高校生でも可能なケースがあります。

毎月1回矯正治療の情報と知識を提供しています

次回開催は未定です
無料矯正教室

「矯正って...どんな治療なんだろう?」
「いつ治療したらいいのかしら? 方法は?」
「すっごく痛いのかもしれない...」
「普通の歯医者さんでも治療してもらえるのかな?」
「費用はどれぐらい必要?」
「歯並びが気になるけど、歯を抜いて矯正するのはちょっと...」

歯並びを治したい、きれいにしたいと思っていても、いろいろな不安やわからないことが多くて、困ったり悩んだりしている方は少なくないと思います。なぜなら「矯正治療に関する正確な情報」は意外と少ないからです。

中には「矯正治療をお願いしたら歯を抜かれちゃうかも...」と思っていたり、自己判断で「凸凹がひどいから治らないだろう...。治してもらうとしたら歯を抜くしかないんだろうな」と思い込んでしまっているケースもあるのではないでしょうか?

当院では、気軽に正確な矯正歯科知識を得ていただけるよう、毎月1回「無料矯正教室and Q&A(予約制)」を行っています。

画像を用いてわかりやすいように説明したあと、ご質問にお答えします

無料矯正教室月に1回、原則として第3日曜日午後1時から40分程度の教室です。院長が、矯正歯科治療の具体的な内容、治療時期、抜歯の問題、期間など、矯正について画像を用いてひととおり解説します。また、皆さんからのご質問にもお答えします。

疑問の全部は解決できないにしても、まずは経験豊富な矯正医の話を直接お聞きになり、かつ質問してみるのが一番でしょう。この「無料矯正教室 and Q&A」は、客観的な情報提供の場とするために、当院の診療とは切り離して開催しております。どうぞご遠慮なくお気軽にお越しください。


●お問い合わせは 054-221-8818 かたやま矯正歯科へお電話ください。

さまざまな方法で情報を発信しています

無料矯正教室のほかにも、当院では常に「新しい情報の発信」を心がけています。このホームページはもちろんのこと、医院の入り口および受付では、矯正治療の時期についてのアドバイス、不正咬合のチェックポイントなどがご覧いただけるパンフレットを常時配布し、皆さんに理解を深めていただいています。

サンクスシステム

サンクスシステムいざ矯正治療をスタートされた方々に対しては、治療の進行度合い、現時点での治療状況、今後の見通しといったことを、できるだけこまめにお伝えしようと考えています。矯正治療は通院期間が比較的長く、回数も多くなりますので、今がどの段階であるのかがおわかりになれば、それだけで気持ちが楽になると考えるからです。

毎回の治療時になるべく多く時間を取り、患者さん自身、あるいは治療を受けているお子さんの保護者の方とお話しするようにしています。雑談を混じえながらも、さまざまなご質問にお答えさせていただいています。 そんな中で特にご注意申し上げるのは「矯正装置をきちんと使うこと」および「矯正治療中の歯磨き(虫歯予防)」のことです。

矯正治療では、個々の状態に適した矯正装置の使用が不可欠です。そして、矯正器具にもよりますが、多かれ少なかれ通常より歯が磨きにくくなりますので、いつも以上にていねいな歯磨きを心がけることも不可欠です。そこで当院では、皆さんに少しでも治療期間や歯磨きを楽しんでいただけるように「サンクスシステム」を行っています。

このシステムは、良く装置を使っていただき、さらには良く歯磨きをしていただいた方に、医院からの感謝の印として小さなカードを差し上げています。

また、治療終了時にささやかなセレモニーを行っています。皆さん大変喜んでくださいますので、当院としても嬉しい限りです。

矯正治療に年齢制限はありません

大人の矯正

あごの成長が止まった大人の矯正は、子どもに比べると歯の動く範囲が小さい、抜歯が必要となる確率が高くなる、といった制約があることは否めません。ですが、大人は「歯並びを治したい」という自らの希望で始めるので、治療への理解や治療中のケアがしっかりとでき、良い結果に満足されている方は大勢いらっしゃいます。

なお、大人でも歯と骨の大きさ、必要なおよその移動量、その際の歯や骨の示す角度等の条件などを正確に把握することによって、非抜歯での治療が可能なケースは多々あります。当院ではそのために、大人の方の場合も、子どもの治療の場合と同様に、従来の分析法のほか、パーセンタイル法など複数の分析を利用し、できるだけ正確な状態の把握に努めています。

そして、患者さんのデータから非抜歯で治療できる可能性を探り、装置の使い方などを工夫することによって、できるだけ歯を抜かずに治療することを目指します。

歯と歯周組織に問題がなければ、矯正治療は何歳からでも可能です。当院では「ていねいな診断、ていねいな治療」をモットーに「一人ひとりに合わせた科学的な分析と効果的な治療」を行っています。正しい診断や情報を得て、納得できる治療を受けるためにも、矯正専門の当院へお気軽にご相談ください。

「歯並びをきれいにしたい!」と思う理由はさまざまです

大人の矯正矯正治療を希望される理由としては、お子さんの場合より、大人の方のほうが「より深刻で現実的」と言えるかもしれません。たとえば、歯並びが悪いことにコンプレックスを感じている方や、話すときに空気が漏れてうまく発声できないなど、大人になり、対人関係が広くなればなるほど、深刻に悩んでいらっしゃる方は少なくないのです。

20代では「就職活動のために第一印象を良くしたい」「結婚式までに治したい」といった方が増えてきます。また、30代・40代になると、「子どもの手が離れて少し余裕ができたから」とおっしゃる方もいれば「子どもの幼稚園や小学校の受験の面接までに自分の歯並びをきれいにしたい」というお母さんもいらっしゃいます。

さらには、50代・60代では、矯正治療はアンチエイジングや健康寿命を延ばすことにも大きく関わってきます。そして最近では、20代・30代の男性が矯正治療を始めるケースも増えています。

欧米では、健康管理と共に、歯並びや噛み合わせを整えることは社会的ステータスの現れであり、身だしなみの一部として重要視されています。それだけに、留学先や海外出張先で歯並びの悪さを指摘されて恥ずかしい思いをした...という話も珍しくないのでしょう。そういったことから、国際化社会におけるビジネスチャンスのために矯正治療をされている方も少なくないようで

大人の矯正に使用する装置はマルチブラケットが中心です

大人の矯正大人の矯正治療の主役は、マルチブラケット装置を使用したスタンダードエッジワイズ法です。患者さんの口腔内の状況によっては、マルチブラケットによる治療を始める前に、プレートによって大臼歯を後方に移動させたりするケースもあります。

大人の場合はプレートを用いてもあごの骨の成長は望めませんが、歯を動かすために利用することは可能です。

「スタンダードエッジワイズ法」についてはこちら

矯正治療期間中の注意点

大人の矯正矯正装置を装着しているときは装置の周囲に食べカスが残りがちで、虫歯や歯周病になりやすくなってしまうのは子どもの矯正と同じです。ブラッシングや食べ物への気づかいが大切です。

子どもの矯正は第I期と第II期に分かれます

子どもの矯正

子どもの矯正治療は、大きく分けると第I期治療と必要な場合に行う第II期治療とがあります。
 第I期治療では、あごの成長の促進や抑制を行ったり、歯並びが凸凹にならないようにあごの骨を拡げたりするなど、主に骨格的な問題を正すことに努めます。その結果、前歯や奥歯もきちんと並んできます。
 Ⅰ期治療のみで終了する場合も多くあります。

第II期治療は、必要な場合に行います。すべての歯が永久歯になってから行い、すべての歯が噛み合うように個々の歯の位置を整えます。年齢的には、通常は中学生以降に行う治療です。

第I期治療

第I期治療第I期治療は、骨格的な問題を正す治療が中心です。特に小学生までであれば、機能的矯正装置による矯正治療が有効です。

機能的矯正装置とは、ワイヤーやゴムといった矯正材料の力ではなく、噛む力をはじめとするお口周りの筋肉の力を利用して矯正治療を行う装置の総称です。成長期に用いることで上あごや下あごの成長を促進し、過蓋咬合や機能性反対咬合を治療していきます。

この時期に行うべき治療は、具体的には、叢生、上顎前突での大臼歯の後方移動、反対咬合での前歯からの前方牽引などです。歯を抜かずに治療するためには、奥歯をできる限り大きく移動させるケースがありますが、当院ではヘッドギアのほかにも装置を色々と工夫することによって良い結果を上げています。

第II期治療

第II期治療第I期治療を受けた方の多くは、永久歯が生え揃ったこの第II期で仕上げの治療をします。

子どもの矯正では、骨格への働きかけは、第I期治療でできるだけ迅速に行います。その段階で奥歯の移動や骨格の成長によってスペースを確保し、第II期治療ではマルチブラケット装置を使用したスタンダードエッジワイズ法により、歯並びを全体的に整えていくといった流れです。

「スタンダードエッジワイズ法」についてはこちら

矯正治療期間中の注意点

矯正治療期間中の注意点矯正装置を装着していると装置の周囲に食べカスが残りがちで、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。そのため、通常以上にていねいにブラッシングすることや、食べる物にも注意を払うことが大切です。せっかく歯並びを治しても、虫歯や歯周病にかかってしまっては元も子もないので、治療中は下記のことに注意しましょう。

ブラッシング
毎食後必ず歯を磨くことを心がけましょう。自宅ではもちろんのこと、外出時でも食後は歯を磨くようにすることが虫歯や歯周病予防につながります。通常よりも時間をかけてていねいにブラッシングするだけでなく、装置の構造に合わせた磨きやすいタイプの歯ブラシ(歯間ブラシなど)によるブラッシングもプラスすると良いでしょう。手鏡を利用して、装置の周囲の汚れが取れているかを確認しながら磨くのがポイントです。

食べ物
基本的に、食べてはいけない物はありません。ですが、ガムやキャラメル、おもちなどは歯や矯正装置に付着しやすいため、注意したほうが良いでしょう。また、おせんべいやナッツ、氷といった固いものを噛むと、装置が破損する恐れがあります。小さく砕いてから食べるようにしましょう。

抜いたほうがうまくいくケースもある。その判断について

歯を抜かない治療・抜く治療

当院では「できるだけ歯を抜かない矯正治療」を目標にしています。しかし特に年齢が上がるにつれ、「抜くことが不可欠なケース」も少なくありません。歯を抜かない矯正治療が困難な場合や、歯を抜いて矯正治療をしたほうが良いケースが多いことの大きな理由は、日本人の骨格そのものにあります。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、日本人には「歯が大きく、あごの骨が小さいタイプ」が多いのです。小さな土台(あご)に、そのスペースには収まりきらない大きな歯が生えてきてしまうことを考えると、抜歯を避けられないケースがある程度増えるのは仕方のないことなのです。

抜く・抜かないの判断歯を抜かない治療・抜く治療
大切なのは、まずは「歯を抜かずに矯正できる可能性」を見極め「歯を抜かずに矯正する工夫や努力を最大限まで行う」ことだと考えています。そしてそれは、個人個人についてのていねいな診察と診断、および効果的な治療方法と技術力によって可能となるのです。

抜く・抜かないの見極めポイントは、まずは「歯と骨の大きさとバランス」です。さらには「不正咬合の程度や種類」でしょう。当院では、これらをしっかりと見極めるために、複数の検査データと個人個人の条件(お子さんの場合には成長に関するデータなども含む)を重視しています。

お子さんの矯正治療の場面では、できるだけ個々人の成長発育状態を正確に捉えるため、パーセンタイル図表も利用しています。もちろん大人の場合も個々人の状況に応じて、できるだけ歯を抜かないで治療することを大事にしたいと考えています。

そしてもう1つ。ちょっと意外かもしれませんが、抜く・抜かないの見極めポイントとして大切にしていることは「患者さん自身のご希望」です。中には「少しでも治療期間が短くなるなら抜歯してほしい」と考える方もいらっしゃいます。逆に、患者さんが「どうしても抜きたくない」という場合には、可能な限り非抜歯での治療を考えます。

矯正治療を受ける意味

治療時期について

矯正治療は、歯並びを整えて、健康的な笑顔を作り出します。また、見た目を美しく整えると同時に、健康な噛み合わせをも実現する意味があります。逆に、悪い歯並びをそのままにしておくと、多くのデメリットが生じてしまいます。

たとえば、歯磨きがしづらく、きちんと磨いているつもりでも、歯並びが悪いせいでブラシがしっかり行き届かなくなり、虫歯や歯周病になりやすくなります。また、舌の位置がずれて発音が不明瞭になったり、きちんと噛み合わせたりできないために、食べ物がよく噛めず、胃腸に負担がかかってしまうこともあります。

このように矯正治療は、見た目の審美面と噛み合わせの機能面、その両方を正しく改善することであり、心身の健康のために重要な意味を持っているのです。

子どもの場合

治療時期について小さなお子さんは日々成長し、歯並びもどんどん変化していきます。それだけに「矯正治療に適切な時期はいつ頃なのか」と、保護者の方が迷われてしまうことがあります。

ここで知っておいていただきたいのは、成長過程にあるお子さんであればこそ「成長発育を利用した効果的な治療」が可能である、ということです。ただし、個々の症状によって「適切な治療時期が異なる」場合もあります。できるだけ歯を抜かない治療を可能とするために「治療に適した時期」を大事にしたいものです。

少しでも歯並びに気になる点が生じたら、なるべく早く、まずはご相談ください。来院されて診察をしたからといって、必ずしもすぐに治療をスタートさせなければならないわけではありません。迷ったまま、治療に適した時期を逃してしまわないために、まずは「時期を見極めること」を目的としてご相談いただければと思います。

成長発育を利用した効果的な治療

治療時期について成長発育を利用した効果的な治療をスタートさせるのに適した年齢は、一般的な目安としては7~9歳ぐらいです。遅くとも、身長が急激に伸び始める前、年齢としては10~12歳くらいまでが望ましいので、小学生のうちに相談、開始されるのが良いでしょう。

その理由は、良い歯並びを実現するためには、上下のあごの骨の大きさや位置関係のバランスが重要だからです。たとえば、上下とも歯はきれいに並んでいたとしても、前歯の上下間に隙間ができていたり前後に大きく離れていたりする場合は、良い歯並びとは言えません。

これらは「開咬」あるいは「上顎前突」「反対咬合」と呼ばれる不正咬合の一例ですが、歯が生えているあごの骨の大きさや位置関係に問題があって生じている場合が多いのです。

あごの骨の成長状態の見極めが重要
子どもの矯正治療では、あごの骨のバランスを整え、それによって歯の並びと噛み合わせを良くしていくことを考えます。そのためには、暦年齢や歯齢のほか、身長の変化などの臨床資料を考慮して、個人のあごの骨の成長状態をできるだけ見極めなければなりません。

そして、骨格に問題がある場合には、早いうちに治療を開始し、成長を利用して骨格のアンバランスを取り除き、歯の生えている骨の大きさや位置関係をできるだけ正常に近づけることが必要です。骨の大きさや位置関係が正常に近くなれば、永久歯が生えてからの矯正治療で、歯を抜かなければならないケースも減る可能性があります。また矯正治療結果も、より良いものとなり得るでしょう。

あごの骨は上下で成長に差がある

あごの骨の成長には上下で違いがあります。そのため、矯正する症状によって治療をスタートするのに適した時期にも違いがあります。

治療時期について<叢生の場合>
歯並びが凸凹している叢生の場合、上下の骨の大きさを拡げて歯全体を収容しやすくする治療を行うことが多いので、成長期であればあるほど効果的です。そのため、小学生のうちに治療を開始するのが望ましいのですが、スタート時期に関しては、少し広く考えても大丈夫でしょう。

叢生の症例はこちら

治療時期について<反対咬合の場合>
反対咬合の場合は、下あごの発達に比較して、上あごの成長が不足している状態が多く見られます。この場合、下あごの成長を抑えながら上あごの成長を促進するように装置を用います。この装置は、きちんと使用した場合には相当な効果を示しますが、上あごの成長が9~10歳ぐらいで終了してしまうため、治療に適した時期を逃してしまうケースもあります。

つまり反対咬合の場合は、ドクター側の装置の選択眼も重要ですが、保護者の側でも、治療開始に適した時期を逃さないことが大切です。具体的には9~10歳頃までに、少なくとも小学生のうちに始めるのが望ましいでしょう。

反対咬合の症例はこちら

治療時期について<上顎前突の場合>
上顎前突の場合には、上あごの成長が良過ぎるケースと、逆に下あごの成長が足りないケースがあります。そこで、個々の状況に合わせて、上あごの成長を抑えたり、あるいは下あごの成長を促進する装置を用いたりします。いずれにしても、自然な成長を利用して、成長のバランスを整えることを重視した矯正装置を適切な時期に使用した場合は、驚くほどの効果があります。

また、第二大臼歯(12歳臼歯とも呼ばれる、前から数えて7番目の永久歯。11~14歳ぐらいの間に生えてくる)が萌え出る前でなければ治療しにくいケースも多くあります。成長期にあるほど効果的ですので、なるべく早期に治療開始したいものです。やはり小学生の頃が望ましいでしょう。

上顎前突の症例はこちら

個人個人の成長差や複合的な症状も把握して対応治療時期について
単一の不正咬合に関して、望ましい治療開始時期の目安を挙げてみましたが、実際の不正咬合は、複数の症状が複合しているケースがほとんどです。そのため、複合した症状に必要な治療を選択し、個人個人の成長発育状態に応じた治療を実施していきます。

また、身長が伸びる時期が一人ひとり違っているように、あごの骨に関しても、成長発育が進む時期や成長スピードといったものには個人差があります。だからこそ、歯の大きさやあごの特徴を測定したり、身長変化データなどを併せたりして、今後の変化・成長具合をしっかりと把握することに努めています。

お子さんの歯並びが心配な保護者の方も、各症状別に示した「治療に適した年齢」を参考に留め、なるべく早い時期に一度ご相談いただくことで、最適な時期を逃さないように注意してあげてください。

「子どもの矯正」についてはこちら

年齢が進むと、治療の選択肢は減る

治療時期について治療に適切な時期が過ぎてしまったと思われる場合でも、矯正治療ができなくなるわけではありません。大人になってからでも矯正治療はできます。年齢が進むにつれて、選択可能な治療方法がだんだん減ってくると理解いただくのが正しいと思います。

たとえば、8~10歳の頃であれば歯を抜かずに治療することが可能だったけれど、中学生になってから矯正治療に入ったために抜歯が必要になるといったケースもあり得ます。ただし成長の個人差は非常に大きく、適切な時期そのものに違いがありますので、遅いように見えても実は遅くはない場合もあります。

いずれにしてもなるべく早め、できれば10歳くらいまでに矯正医に相談されることが望ましく、遅くとも小学生のうちには相談、開始されることをお勧めします。また、中学生、高校生になってからでも可能な場合はありますので、一度ご相談ください。

大人の場合

治療時期について少しでも早めにスタートするのが望ましいと言えますが、矯正治療に年齢制限はありません。何歳からでも治療可能です。

ただし、大人と子どもでは治療方法に大きな違いがあります。あごの成長が発育段階にある子どもの場合は、その成長発育を促したり抑制したりしながら正しい方向にリードして、歯とあごを自然で理想的な位置に調整しながら治療を進めていきます。

一方、すでに成長発育が止まっている大人の場合は、あごの大きさが完成しているため、それをベースに治療を行います。そのため、あごの大きさが足りずに歯並びが凸凹している場合や歯列全体が前に出ている場合などには、抜歯が必要とになる確率が高くなります。

ですが、大人でも歯と骨の大きさ、必要なおよその移動量、その際の歯や骨の示す角度等の条件など、できる限り正確に把握すれば、従来普通に考えられているよりは多くのケースで抜かない治療が可能となります。

このため、従来の分析法のほか、パーセンタイル法など複数の分析を利用し、できるだけ正確な状態把握に努力するのは子どもの場合と同じです。なかなか手間はかかりますが、このような緻密性があってはじめて可能となるのが、非抜歯での矯正です。

ただ、年齢に伴って歯の動きは少し遅くなります。また、虫歯や歯周病などの個別問題も生じてくるので、やはりなるべく早めにご相談いただくことが望ましいでしょう。

「大人の矯正」についてはこちら

一人ひとりに合わせた科学的な分析と効果的な治療

治療前の分析と診断

当院では、治療前の分析と、それに基づく診断を非常に重視しています。なぜなら、患者さんの個々の状態や条件によって、またそういった状態や条件をどう評価するかによって「いかなる治療方法を用意できるか、適応させられるか」が大きく違ってくるからです。

治療に使用するのは安全が確認されている従来の装置ですが、その使い方や組み合わせ方を考え、効果的な治療法としています。それと共に、検査データや成長に関するデータなど、個人の条件をしっかりと重視することで多くの実績を残しています。

子どもに対するアプローチ

治療前の分析と診断中学生以下の年代は、矯正治療にとっては極めて有利な時期と言えます。その理由は、成長期を利用してあごの骨に働きかけることによって、歯を抜かずに治療できるケースが多いからです。逆にこの時期を逃してしまうと抜歯が必要となる確率が増えますので、少しでも早くご相談いただきたいと思います。

成長期を有効に利用するためには、まず一人ひとりの歯やあごの特徴を測定し、かつ身長変化データなどを併せて、今後の変化・成長具合をしっかりと把握することが重要です。

そこで当院では、従来の分析法のほか、パーセンタイル法などに基づく複数の分析を利用して、成長をより詳しく捉えるようにしています。こうした精密性によって、成長を利用した歯を抜かない治療の見通しが立ってくるのです。

●パーセンタイル法
対象とする計測値の分布(数値群)を小さい順に並べ、パーセントで位置付けを見る方法

治療法の工夫によって後戻りしにくい結果を実現

治療前の分析と診断矯正治療をしたのに、時間が経ったら歯が動いてしまい、再び歯並びが悪くなってしまうという状況を「後戻り」と言います。後戻りを防ぐために、治療後しばらくの間はリテーナーという装置を使って矯正後の状況を保って安定させるのですが、不正咬合によってはそれでも不十分なケースがあります。

当院では、早い時期に来院いただき成長期を利用した矯正治療において、後戻りは極めて少ない結果を得ています。

たとえば「反対咬合」では、上顎前方牽引法というのが標準的な治療法です。通常は、上の奥歯から全体的に前方向に引っ張ります。しかし当院では、使用する治療方法は同じく上顎前方牽引法であっても、奥歯からではなく前歯から牽引することによって、上あごの成長を促しながら矯正していくようにしています。

こういった「治療法の工夫」によって、永久歯の生え方などにも悪影響を与えず、かつ後戻りのしにくい結果を得ています。

「矯正は歯を抜くことから始まる」と思っている方へ

できるだけ歯を抜かない治療

歯並びが凸凹していたり、上の前歯が前方に突き出してしまっているなど「歯並びの悩み」は人それぞれです。また、ひとことで「凸凹している」と言っても、その箇所や程度、周囲の歯やスペースの状況も千差万別でしょう。それだけに「どのような方法で、どういう方向性で治療を行うのが最適か」ということも、本当にケースバイケースなのが矯正治療です。

ですから「矯正=抜歯が必要」というわけではありません。一見しただけでは「歯を移動させるスペースがなさそうに見える歯並び」でも、奥歯から少しずつ移動させることでスペースをつくり、抜歯せずに矯正できる場合もあるのです。

逆に、患者さんの症状によっては、小臼歯などを抜歯してスペースを確保する必要があるケースも少なくありません。また抜歯したほうが、治療期間が短縮できたり、治療後の後戻りの心配が減ったりするケースがあるのも事実です。

当院が大切にしている「できるだけ歯を抜かないで治療する」という方針は、
「できるだけ歯を抜かずに矯正治療の目的(体と心の健康)を達する。
子どもでは積極的に成長を利用し、顎の骨格を改善し、歯を抜かないで、良いかみ合わせを達成する」
ということを意味しています。

本来の自分の歯を抜くのは「もったいないこと」

できるだけ歯を抜かない治療抜かなくてはならない歯を抜くのは「仕方のないこと」ですし、抜いたほうが良い結果が得られるケースについても同様でしょう。ですが、抜かなくても治療可能なケースであるならば「もったいないこと」だと思います。

「咀しゃく(噛む)能力が低下すると認知症の発症リスクが高まる」と言われているように、歯は「健康の源」です。これからの高齢化社会に向かっては「いつまでも自分の歯で咀しゃくできること」が健康寿命を延ばすことにつながる重要事項ですので、矯正歯科治療においても、できるだけ歯を抜かない治療と、そのための的確な判断や治療の工夫・努力が求められていると考えています。

歯を抜いたほうが良い治療ケースも多々あります

できるだけ歯を抜かない治療日本人は骨格的に「歯が大きく、あごの骨が小さいタイプ」が多いため、歯を抜かない矯正治療が困難な場合や、見た目の問題から歯を抜いて矯正治療した方が良いケースが多く見られます。

そのため「他院で抜歯を勧められた」「通常は歯を抜いて治療するケースだと言われた」という患者さんが「本当に抜くしかないのか...」「できれば抜きたくない」という思いで当院を訪れるケースもあります。

そんな中には、当院でも「抜歯が必要」という診断結果となるケースもあります。しかし、歯を抜かないで矯正可能なケースがあるのも確かなのです。

年代別に見ると

できるだけ歯を抜かない治療12歳ころまでの乳歯から永久歯への交換時期に来院されて治療を受けた場合は非抜歯の可能性はかなり高くなります。それ以上では、段々非抜歯の可能性は下がってきます。もちろんケースにもよります。

また、大人の場合はどうしても抜いて治療するケースは増えます。その上で、「できるだけ抜かない矯正治療」を目標として工夫や努力を重ねてきました。「限界例の方をどれだけ救えるか」ということなのです。

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