犬歯が生えてくる際の問題-方向異常
10才前後、小臼歯に続いて犬歯が生えてきます。普通はこれで側方歯が全部そろいます。
この時、上の犬歯が顎骨内で進む方向に異常が生じ、本来の方向ではなく、前歯の根に向かってくる例が、まれにあります。
これは大変な事態です。放置すれば前歯の根にぶつかり、前歯の根が食われてしまいます。
こうなれば前歯はもちません。少しの衝撃でぐらぐらになってしまいます。
上の前歯は一番目立つ歯であり、ものを食べるためにも大臼歯と並んで重要な歯です。
できる限り失ってはなりません。
この場合、他の治療目標は一旦棚上げし、
前歯を救うため、顎骨内の犬歯の進む方向を変えてやらねばなりません。
方法としては、
一旦、歯茎に窓を開けて犬歯の表面を出し、小さい部品を付けて牽引します。半年はかかるでしょう。
この異常は、普通なら左右犬歯のどちらかだけです。
しかしまれには左右両方の犬歯の方向に異常が見られることもあります。難しい事態です。
それでも、前歯を救わねばなりません。
矯正治療はこの場合にも大活躍です。いままでも前歯を救ってきました。