矯正治療を受ける意味

治療時期について

矯正治療は、歯並びを整えて、健康的な笑顔を作り出します。また、見た目を美しく整えると同時に、健康な噛み合わせをも実現する意味があります。逆に、悪い歯並びをそのままにしておくと、多くのデメリットが生じてしまいます。

たとえば、歯磨きがしづらく、きちんと磨いているつもりでも、歯並びが悪いせいでブラシがしっかり行き届かなくなり、虫歯や歯周病になりやすくなります。また、舌の位置がずれて発音が不明瞭になったり、きちんと噛み合わせたりできないために、食べ物がよく噛めず、胃腸に負担がかかってしまうこともあります。

このように矯正治療は、見た目の審美面と噛み合わせの機能面、その両方を正しく改善することであり、心身の健康のために重要な意味を持っているのです。

子どもの場合

治療時期について小さなお子さんは日々成長し、歯並びもどんどん変化していきます。それだけに「矯正治療に適切な時期はいつ頃なのか」と、保護者の方が迷われてしまうことがあります。

ここで知っておいていただきたいのは、成長過程にあるお子さんであればこそ「成長発育を利用した効果的な治療」が可能である、ということです。ただし、個々の症状によって「適切な治療時期が異なる」場合もあります。できるだけ歯を抜かない治療を可能とするために「治療に適した時期」を大事にしたいものです。

少しでも歯並びに気になる点が生じたら、なるべく早く、まずはご相談ください。来院されて診察をしたからといって、必ずしもすぐに治療をスタートさせなければならないわけではありません。迷ったまま、治療に適した時期を逃してしまわないために、まずは「時期を見極めること」を目的としてご相談いただければと思います。

成長発育を利用した効果的な治療

治療時期について成長発育を利用した効果的な治療をスタートさせるのに適した年齢は、一般的な目安としては7~9歳ぐらいです。遅くとも、身長が急激に伸び始める前、年齢としては10~12歳くらいまでが望ましいので、小学生のうちに相談、開始されるのが良いでしょう。

その理由は、良い歯並びを実現するためには、上下のあごの骨の大きさや位置関係のバランスが重要だからです。たとえば、上下とも歯はきれいに並んでいたとしても、前歯の上下間に隙間ができていたり前後に大きく離れていたりする場合は、良い歯並びとは言えません。

これらは「開咬」あるいは「上顎前突」「反対咬合」と呼ばれる不正咬合の一例ですが、歯が生えているあごの骨の大きさや位置関係に問題があって生じている場合が多いのです。

あごの骨の成長状態の見極めが重要
子どもの矯正治療では、あごの骨のバランスを整え、それによって歯の並びと噛み合わせを良くしていくことを考えます。そのためには、暦年齢や歯齢のほか、身長の変化などの臨床資料を考慮して、個人のあごの骨の成長状態をできるだけ見極めなければなりません。

そして、骨格に問題がある場合には、早いうちに治療を開始し、成長を利用して骨格のアンバランスを取り除き、歯の生えている骨の大きさや位置関係をできるだけ正常に近づけることが必要です。骨の大きさや位置関係が正常に近くなれば、永久歯が生えてからの矯正治療で、歯を抜かなければならないケースも減る可能性があります。また矯正治療結果も、より良いものとなり得るでしょう。

あごの骨は上下で成長に差がある

あごの骨の成長には上下で違いがあります。そのため、矯正する症状によって治療をスタートするのに適した時期にも違いがあります。

治療時期について<叢生の場合>
歯並びが凸凹している叢生の場合、上下の骨の大きさを拡げて歯全体を収容しやすくする治療を行うことが多いので、成長期であればあるほど効果的です。そのため、小学生のうちに治療を開始するのが望ましいのですが、スタート時期に関しては、少し広く考えても大丈夫でしょう。

叢生の症例はこちら

治療時期について<反対咬合の場合>
反対咬合の場合は、下あごの発達に比較して、上あごの成長が不足している状態が多く見られます。この場合、下あごの成長を抑えながら上あごの成長を促進するように装置を用います。この装置は、きちんと使用した場合には相当な効果を示しますが、上あごの成長が9~10歳ぐらいで終了してしまうため、治療に適した時期を逃してしまうケースもあります。

つまり反対咬合の場合は、ドクター側の装置の選択眼も重要ですが、保護者の側でも、治療開始に適した時期を逃さないことが大切です。具体的には9~10歳頃までに、少なくとも小学生のうちに始めるのが望ましいでしょう。

反対咬合の症例はこちら

治療時期について<上顎前突の場合>
上顎前突の場合には、上あごの成長が良過ぎるケースと、逆に下あごの成長が足りないケースがあります。そこで、個々の状況に合わせて、上あごの成長を抑えたり、あるいは下あごの成長を促進する装置を用いたりします。いずれにしても、自然な成長を利用して、成長のバランスを整えることを重視した矯正装置を適切な時期に使用した場合は、驚くほどの効果があります。

また、第二大臼歯(12歳臼歯とも呼ばれる、前から数えて7番目の永久歯。11~14歳ぐらいの間に生えてくる)が萌え出る前でなければ治療しにくいケースも多くあります。成長期にあるほど効果的ですので、なるべく早期に治療開始したいものです。やはり小学生の頃が望ましいでしょう。

上顎前突の症例はこちら

個人個人の成長差や複合的な症状も把握して対応治療時期について
単一の不正咬合に関して、望ましい治療開始時期の目安を挙げてみましたが、実際の不正咬合は、複数の症状が複合しているケースがほとんどです。そのため、複合した症状に必要な治療を選択し、個人個人の成長発育状態に応じた治療を実施していきます。

また、身長が伸びる時期が一人ひとり違っているように、あごの骨に関しても、成長発育が進む時期や成長スピードといったものには個人差があります。だからこそ、歯の大きさやあごの特徴を測定したり、身長変化データなどを併せたりして、今後の変化・成長具合をしっかりと把握することに努めています。

お子さんの歯並びが心配な保護者の方も、各症状別に示した「治療に適した年齢」を参考に留め、なるべく早い時期に一度ご相談いただくことで、最適な時期を逃さないように注意してあげてください。

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年齢が進むと、治療の選択肢は減る

治療時期について治療に適切な時期が過ぎてしまったと思われる場合でも、矯正治療ができなくなるわけではありません。大人になってからでも矯正治療はできます。年齢が進むにつれて、選択可能な治療方法がだんだん減ってくると理解いただくのが正しいと思います。

たとえば、8~10歳の頃であれば歯を抜かずに治療することが可能だったけれど、中学生になってから矯正治療に入ったために抜歯が必要になるといったケースもあり得ます。ただし成長の個人差は非常に大きく、適切な時期そのものに違いがありますので、遅いように見えても実は遅くはない場合もあります。

いずれにしてもなるべく早め、できれば10歳くらいまでに専門医に相談されることが望ましく、遅くとも小学生のうちには相談、開始されることをお勧めします。また、中学生、高校生になってからでも可能な場合はありますので、一度ご相談ください。

大人の場合

治療時期について少しでも早めにスタートするのが望ましいと言えますが、矯正治療に年齢制限はありません。何歳からでも治療可能です。

ただし、大人と子どもでは治療方法に大きな違いがあります。あごの成長が発育段階にある子どもの場合は、その成長発育を促したり抑制したりしながら正しい方向にリードして、歯とあごを自然で理想的な位置に調整しながら治療を進めていきます。

一方、すでに成長発育が止まっている大人の場合は、あごの大きさが完成しているため、それをベースに治療を行います。そのため、あごの大きさが足りずに歯並びが凸凹している場合や歯列全体が前に出ている場合などには、抜歯が必要とになる確率が高くなります。

ですが、大人でも歯と骨の大きさ、必要なおよその移動量、その際の歯や骨の示す角度等の条件など、できる限り正確に把握すれば、従来普通に考えられているよりは多くのケースで抜かない治療が可能となります。

このため、従来の分析法のほか、パーセンタイル法など複数の分析を利用し、できるだけ正確な状態把握に努力するのは子どもの場合と同じです。なかなか手間はかかりますが、このような緻密性があってはじめて可能となるのが、非抜歯での矯正です。

ただ、年齢に伴って歯の動きは少し遅くなります。また、虫歯や歯周病などの個別問題も生じてくるので、やはりなるべく早めにご相談いただくことが望ましいでしょう。

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まずはご相談ください

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